勝手に映画化読書シリーズ第9弾
今回の作品は、佐木隆三さんの「身分帳」。
映画のタイトルは「すばらしき世界」となっています。
ではいつものように簡単なあらすじから書いていきます。
身分帳
あらすじ
人を刺し殺して10年の刑を言い渡された、山川一。
故意ではなかったと主張しても自分の生い立ちや過去の素行の悪さも手伝い10年の刑が確定した。
さらに刑務所内で度々問題を起こし、刑期が3年延びてしまった。
そして、13年の刑の満期を迎え退所となり新たな人生を踏み出すことになるがそこに立ちはだかるのは”身分帳”。
元々正義感が強く、そのために起こしてしまった犯行だったり、刑務所内での行動に至っているので出所したからと言ってその性格は変わることがなく自分自身を偽ることもできない。
そんな前科者の彼でも優しい手を差し伸べてくれる者もいるが、完全に払拭することはできない。
一体この先どうなってしまうのか!?
罪を償ったとはいえ、前科者では幸せになれないのか!?
感想
わたしは服役したこともないのでその人たちの気持ちは分からないが、以前このブログ内でも犯罪者についてちょこっと書いたことがあるのですが(”悪者が犯罪を起こしているわけではない”という内容で)、やはり大切なのは本人の気持ちと周りのサポートだと思う。
全くの他人であれば背景を見ることなく、前科がある・罪を犯したという事実しか受け入れない。
さらに、刑務所内での態度が良かったり、反省の色が濃かったりすると任期が早まるケースもある。そう言った配慮を受けることもなく満期での出所だと余計に印象が良くなることはない。
だからと言って赦せないのとは違う。
犯罪を肯定するつもりは全くないが、犯罪に至った経緯や本人の気持ち、今後に対する考え方が重要。
当然、わたしは加害者でも被害者でも、どちらの家族という立場ではないからこんなことが言えるのかも知れないが、”身分帳”だけで人柄を決めつけてしまうのはおかしい!
応用
これは、犯罪に限ったことではない。
例えば、履歴書。
文章がうまく書けない、自分をアピールするのが下手、な人でも仕事に対して積極的で粘り強く取り組める人は数多くいる。
それを履歴書一枚で判断できるのだろうか?
また、それとは逆に文章を書くのがうまく、自己表現に長けているが労働には向かない人もいる。
どちらにしても、人を見る目が大切。紙で判断できることではない。紙一枚で合否はつけられない。
①20年同じ会社で働いた後転職した人と、②20年で5回転職した人・③10回転職した人とでは何が違うのだろう!?
比較
①20年同じ会社で働いた後で転職した人。
同じ仕事を続けられる忍耐力や精神力に優れてる。
②20年で5回転職した人。
それなりに続ける力はあるが不安定。
③20年で10回転職した人。
飽きっぽい・忍耐力がない・使えない。
大体こんな印象になるのではないですか?
でもこれって本当にそうなのでしょうか!?
①の場合、ただ与えられた仕事だけこなして変化を好まない。
②の場合、ある程度経験した後、向き不向きや社会の様子・動向を見ている。
③の場合、成功する手段を一生懸命探している。
などとは考えられないでしょうか?
その人物を見ていなければ、わたしたち見る側の受け取り方次第だと思うんです。
佐木隆三
ちょっと道が逸れてしまいましたが、”身分帳”の紹介に戻ります。
作者は佐木隆三さん。
本名:小先 良三(こさき りょうぞう)、1937年4月15日〜 2015年10月31日。
日本の小説家、ノンフィクション作家で、北九州市立文学館名誉館長、九州国際大学元客員教授でもある。
ノンフィクション作家ということで、様々な事件を取材したり、佐木さん本人も警察のお世話になったり波乱万丈な人生を送ったようです。
詳しく知りたい方は、下記から検索してみてください。
映画化
その佐木隆三さんの作品を、「ゆれる」「永い言い訳」などの作品で人気のある西川美和さんが監督・脚本を手がけ映画化になりました。
タイトル「すばらしき世界」
監督・脚本:西川美和
主演:役所広司
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