センバツ高校野球は、3/27にベスト8が出揃い、プロ野球は3/26に開幕した。
プロ野球の開幕戦で埼玉西武ライオンズの開幕投手を務めた高橋光成投手は、群馬県の前橋育英高校出身。高校2年生の時、2013年夏の全国高校野球選手権、いわゆる夏の甲子園で優勝投手となった選手。しかも、甲子園初出場で初優勝の快挙!
今回(2021年)の春のセンバツに、前橋育英高校は出場できなかったが、全国的には有名。
さらに、同校のサッカー部は、黄色と黒の縦縞のユニフォームが印象的で、野球部以上に有名。Jリーグや海外のプロチームに70名以上の卒業生を輩出した名門校。
そんな、前橋育英高校の野球部とサッカー部の監督が書かれた本を見つけたので読んでみた。今回はその内容について書いていこうと思う。
前橋育英高校
野球部
まずは野球部から。
その前に、学校や部活動について知りたい方は下記から検索してください。
それでは、改めて野球部といいますか、野球部の監督を務めてる荒井直樹氏が書かれた本について書いていきます。
モットーは表紙にも書いてある”凡事徹底”、『当たり前』の積み重ねが本物になる。

なんでもないような当たり前のことを徹底的に行うこと、または、当たり前のことを極めて他人の追随を許さないこと。
指導者になりたての頃、目にしたこの言葉”凡事徹底”は、イエローハット創業者である鍵山秀三郎氏が雑誌の中で仰っていた言葉で、その時から、帽子のツバにこの言葉を書き指導者として歩み始めた。
監督自身は、神奈川県の日大藤沢高校で野球をやっていたが甲子園出場は叶わず、卒業後いすゞ自動車に入社し社会人野球を続けた。
その後引退し、母校である藤沢高校の野球部の監督を3年勤めた後、前橋育英高校の監督に就任。
高校生の時は投手で、一つ下に元中日ドラゴンズの山本昌投手がいて、二人で県予選を交互に投げていたそうですが、荒井監督は2試合連続でノーヒットノーランを達成する快投をしていたが、山本投手の試合の時に負けてしまい、山本投手から謝られた思い出があるそうです。
凡事徹底
生活にしても、野球に対する取り組み方にしても、チームづくりよりも、人間づくりに徹底していて、たったひとつのゴミ拾いや掃除、あいさつなど、当たり前のことができなければ叱る、野球でのミスは叱らないことを徹底している。
当然、やる気のないプレーやどうしてああいうプレーをしたのかと聞いたときに選手が答えられないようであれば叱ったそうですが、野球よりも人間性に重きをおいているようです。
選手や監督、スタッフに限らず散歩は欠かさない日課なのですが、その散歩の時にゴミ袋を持ちゴミを拾いながら歩いている。これは甲子園に出場したときも変わらず、宿舎の周りを散歩する際にゴミ袋を持ち歩いていたそうです。
宿舎の部屋も泊まったことがウソのようにキレイに使われていたそうで、宿舎の方からお礼を言われたそうです。
これも、監督がやれと言ってやったわけではなく、選手たち自らやっていたそうです。やっていたというか、そういった指導者のもとで生活してきたから自然と身についていたことなのでしょう。
聞くは一時の恥、知ったかぶりは一生の恥
荒井監督が散歩中に見つけたお寺に、「聞くは一時の恥、知ったかぶりは一生の恥」と書かれた紙を見つけたそうです。
確かになぁ、わからないことをわからないというのは案外難しいものだし、忘れることもよくあるしなぁ、と思いこれをきっかけにノートにメモするようになったそうです。
試合中までメモをとっているものだから、他のスタッフに試合中はいいんじゃないですか!?と言われたことあったようですが、気にせず続けていたとのこと。
選手との間でも、交換ノートもやっていて選手との距離感も大切にされています。
こういった日々の積み重ねが、夏の甲子園の優勝という偉業に結びついた。
当たり前のことを積み重ねた結果が最高の形で現れた!
前橋育英高校の野球部はサッカー部に比べまだまだ知名度は低かったし、選手のほとんどが群馬県出身で他県から優秀な選手を集めるということはしなかった。
だから、小さなことをコツコツと積み重ねて16年を要したが、得るものはとても大きなものになった!
埼玉西武ライオンズの高橋光成投手は、こういったチーム・学校で育った選手なので人間性は申し分ないと思うので、あとはプロ野球選手として結果を残し、育ててくれた荒井監督や学校に恩返しをしてほしい。
期待しています。
サッカー部
野球部より認知度は高く全国的に有名なサッカー部。
全国高校サッカー選手権への出場も、野球部は甲子園出場まで16年かかったが、サッカー部は山田耕介監督が就任し5年目で出場している。
しかし、そこからが長く「日本一勝負弱い監督」と言われ続けてようやく就任から36年目で悲願の全国制覇!
今まで長い間やってきたことが報われた瞬間だった。
恩師 小嶺監督
山田監督は長崎県の出身で、元国見高校監督 小嶺氏と師弟関係にある間柄で、サッカーの名門島原商業から法政大を経て前橋育英高校の教師となりサッカー部の顧問を任されるようになった。
サッカー部は全国から入学希望者がいるほど人気で、冒頭にも書きましたがプロサッカー選手も多数輩出しているので、人気だけでなく実力も兼ね備えた部活動と言える。
卒業生に、
- 横浜マリノスや松山山雅FCで活躍し、34才の若さでこの世を去った 元日本代表 故松田直樹氏。
- 横浜フリューゲルスや名古屋グランパスエイトなどで活躍した、元日本代表キャプテン 山口泰弘氏。
- 浦和レッズやドイツで活躍し、現在はタイのバンコク・ユナイテッドでプレー中の、元日本代表 細貝萌選手。
など、一流プレーヤーを続々と輩出している。
6つのチームコンセプト
- 人間力
- チーム・学校・自分自身にプライドを持て
- 規律を追求せよ
- コミュニケーションを武器にしろ
- 逆境に屈しないポジティブシンキング
- 勝負にこだわれ
部活動のコンセプトというより、生き方の指針ですね。
野球部の時に感じたことと、ここでのことを合わせると、部活動単体というより学校としての取り組みのように感じますね。
人間力
山田監督も、野球部の荒井監督同様、人間力を大事にしている指導法です。
ただ試合に勝てば良いという考えは持っていないようです。
選手の総合力=(技術力+センス+身体能力)×人間力
をモットーに、どんなにサッカーセンスに満ち溢れていても人間力がゼロなら選手の総合力としてはゼロ。
これは、就任当時は部室も荒れ果て、不良集団だったサッカー部を名門へと押し上げた経験から導き出されたもの。
サッカーをやる前に、前橋育英の生徒であり、生徒である前に一人の人間である。
まとめ
先ほども少し書きましたが、個々の部活動の活動ではなく学校として取り組んでることの中に部活動があるように感じます。
当たり前のことかもしれませんが、できてない学校があるのも事実です。
その証拠に、野球部やサッカー部だけではなく、陸上部や女子サッカー部、バスケットボール部など様々な部活動が活躍されていて、どの部活のスローガンにも「人間形成」や「社会貢献」、「精神力」などの言葉が見られます。
とある高校の女子バレー部の監督はスパルタで有名ですが、それでも選手は集まるし、それなりに結果は残しています。一方、前橋育英高校のように、選手との距離感を大事にする学校もあります。
でもどちらの場合も裏の部分では、選手に対する愛とそのスポーツに対する愛情があり、違った形で見えるだけ、与える印象が違うだけのように感じる。
どんなスポーツ、どんな大会でも、優勝できるチームは基本的には1チーム。ただ、あのチーム良かったね、すごかったねと言われるチームには制限がない。
ちょっと古い話になりますが、読売ジャイアンツやニューヨーク・ヤンキースで活躍した、松井秀喜氏が夏の甲子園で5打席連続敬遠は記憶に残ってる方も多いと思います。松井氏が当時在籍していた、石川県の星稜高校は結局その試合に敗れてしまったが、その大会の優勝チームよりその試合の方が、強く印象に残っているのではないでしょうか!?
参考までに、その年(1992年)の夏の甲子園 優勝校は、福岡県の西日本短大付で、準優勝は、千葉県の拓大紅陵です。
他にも、相手チームの選手がどこか痛めたときにすぐにコールドスプレーで手当てをしてやったり、水を飲ませたり、敵味方関係なく処置してる姿は胸が熱くなるし、自然と拍手をしてしまいます。
これこそがスポーツマンシップであり、印象に残るチーム・印象に残る選手なのです。
人間力です。
プロ野球も開幕します。高校球児に負けないようなプレーと人間力を見せてもらいたいものです。
特に今回ここで取り上げさせていただいた、前橋育英高校出身の埼玉西武ライオンズ 高橋光成投手には前橋育英魂を見せていただきたい。
高橋光成投手の開幕戦の結果は、8回途中3失点で勝利投手!開幕戦を勝利で飾った!!
おめでとうございます。
おまけ
ちなみにですが、わたしは埼玉西武ライオンズのファンではありません。
特にどのチームを応援するということはないので、選手によって色々な試合を観ます。
巨人の戸郷投手が登板すれば巨人戦を観ますし、楽天の岸投手が登板すれば楽天戦を観ます。その他投手に限らず気になった選手がいればそのチームの試合を見ることもあります。
来週(4/2)にはメジャーリーグも開幕するので、本格的に野球シーズン到来。
世の中は落ち着かないけど、シーズンが中断されたり、中止にならないよう、選手や関係者だけでなく、球場に足を運ぶファンも、家でテレビ観戦するファンも、みんなで気をつけて野球を楽しみましょう!
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